木造住宅の寿命は30年とよく言われます。でも実際はどうなのでしょう?鉄筋コンクリートのマンションと比べると確かに寿命は短いですが、周りには築年数が30年を軽く越えた昭和に建てられた家も残っています。

愛着のある土地と家に住み続けるにはどのような家を建て、メンテナンスをしていけば良いのでしょうか?ここでは木造住宅の寿命を伸ばすための方法を紹介します。

1.木造住宅と鉄筋コンクリート住宅の耐用年数比較

地震が頻繁に起きている現在、戸建て住宅においても鉄筋コンクリートの家は増えています。木造住宅と鉄筋コンクリート住宅の耐用年数やコストの違いは以下の通りです。

木造住宅鉄筋コンクリート
耐用年数(法定耐用年数)22年30~47年
コスト鉄筋より安い木造住宅より高め
耐震性能構造次第で高くすることは可能木造より高い傾向にある

上記を見ると、鉄筋コンクリートのほうが木造住宅よりも2倍ほど耐用年数は高いことが分かります。その理由は鉄筋コンクリートのほうが、木造と違って腐食や劣化に強い特性があるからです。木材は湿気や虫害などの影響を受けやすく、定期的なメンテナンスが必要です。耐用年数だけを見ると、鉄筋コンクリートのほうに軍配が上がるでしょう。

1-1.鉄筋コンクリートのメリット

このように鉄筋コンクリート住宅のほうが耐用年数は高いです。それに伴い、鉄筋コンクリート住宅には以下のようなメリットがあります。

  • 耐震性に優れている
  • 火災に強い
  • 耐用年数が高いため火災保険などの保険料が安い
  • エネルギー効率が高く、省エネ性能が高い
  • 木材が腐食するリスクや虫害がない

鉄筋コンクリート住宅は非常に強固で安定した構造があります。これにより、耐震性や耐火性が強く、建物の安全性も高いです。

メリットが多い鉄筋コンクリート住宅ですが、木造住宅に比べると建築費用が高く、補強リフォームなどには多額の費用が掛かるといったデメリットもあります。そのため日本の戸建てにおける鉄筋コンクリート住宅は、全体の1%ほどしかありません。鉄筋コンクリート住宅は主にマンションなどの集合住宅が中心です。

参照:qa4.pdf (zennama.or.jp)

1-2.実は木造住宅のほうが補強やリフォームがしやすい

その一方、木造住宅にも多くのメリットはあります。

  • 建築費用を抑えられる
  • 木材が湿度を吸収するなど日本の気候に合っている
  • デザイン性が高い
  • 修繕やリフォームが容易
  • 構造の補強やリフォームがしやすい

上記で法定耐用年数は22年と紹介した木造住宅ですが、実は適切なメンテナンスを続ければ65年は持つと言われています。しかも木造住宅は、鉄筋コンクリート住宅に比べると構造が比較的シンプルであるため、修繕やリフォームが比較的容易です。壁や天井、床などの部位の交換や改修が行えるため、建物の耐震性や耐久性を向上させるための補強工事も可能です。

参考:木造は65年、RC造は120年以上?建物の寿命の本質を知る|リフォーム・リノベーション (standard-project.net)

2.木造住宅の寿命を伸ばす方法を紹介

木造住宅は適切なメンテナンスを続けることで60年以上住み続けることができます。ここからは、木造住宅の寿命を伸ばすための方法を3つ紹介します。

2-1.家の通気性を確保する

木造住宅の寿命を伸ばすには、通気性を良くすることが重要です。通気性を確保するためには、床下や小屋裏、外壁などに通気口を設けましょう。また、外壁や天井の断熱層に湿気が浸入するのを防ぐことも重要です。

一般的なマンションの場合、24時間換気機能が設置され、シックハウス症候群への対策が進められています。換気によって室内の汚染空気を排出し、新鮮な空気を取り込むことは、木造住宅の耐久性を保つ上でも効果的です。

また湿度管理も住宅の寿命に直結します。例えば冬季は空気が乾燥しやすいため、室内の湿度を60%前後に保つことが望ましいです。また梅雨時期の高い湿度も家を傷める要因になるため、通気性を確保する必要があります。

2-2.気密性や断熱性を高める

木造住宅の耐久性能を高めるためには、通気性を保ちながらも気密性や断熱性を高めることもポイントです。具体的な例として、下表のようなリフォームがあります。

施工方法内容
外断熱外壁の外側に断熱材を配置する方法。この方法では木造住宅全体を覆うため、適切な温湿度環境と通気性を保つことができる。
内断熱断熱材を壁の内側や柱の間に配置する方法。外断熱に比べると耐久性能においてやや劣るが、施工は外断熱より簡単なケースが多い
土間床工法床下に断熱材を配置する方法。床下の断熱性を向上させることで、室内の温度を一定に保ち、耐久性を向上させることができる。
基礎断熱基礎部分に断熱材を設置することで、地面からの冷気や湿気の侵入を防ぎ、建物の耐久性を高められる。
防湿層施工建物内部に防湿層を施工することで、湿気の侵入を防ぎ、建物の耐久性を高める方法

いずれのリフォームも家の状態や予算に合わせて施工すると良いでしょう。

2-3.10年ごとに定期的なメンテナンスをする

木造住宅の耐久性を向上させるには、定期的なメンテナンスが欠かせません。特に、10年ごとの屋根や外壁の塗装などの外部メンテナンスは重要です。定期的に塗装などを行うことで壁や屋根の問題や不具合を発見し、改善できます。

例えば、外壁材目地のシーリングが劣化していた場合、そこから雨水が侵入して家が浸食されるケースは多いです。通気層などに雨水が浸入するケースでも、のちのち大きな不具合となって家を劣化させてしまいます。定期的な点検とメンテナンスで見えない部分を適切に修理することが、家の寿命を伸ばすことになります。

3.自分でできる家の寿命を伸ばす方法

このように木造住宅の寿命を伸ばすには、定期的にプロによるメンテナンスを受けたり、必要に応じてリフォームしたりすることが大切です。

しかし「予算がない」と悩む人も多く、なかなかリフォームに踏み切れないこともあるでしょう。そんなときはまず自分で家の寿命を伸ばすことをやっていきましょう。

3-1.水回りの掃除はこまめに行う

木造住宅の劣化は水回りから始まることが多いです。日頃から水回りの掃除をこまめに行い、異常がないか確認していきましょう。

例えば排水管や蛇口、シンク周りなどの水回り設備には、経年劣化や摩耗による漏水のリスクがあります。定期的に掃除をすることで詰まりを予防し、漏水なども防げます。また、浴室やキッチンなど湿気の多い場所では、カビや菌の繁殖が起こりやすく、これらも木造住宅の劣化を促進してしまいます。

日頃から掃除を行えば、水回りにおける異常も気づきやすく、対処も早くできます。どの修理も早めに対策をすればコストを抑えられるため、大規模なリフォームをする必要もないでしょう。

3-2.外壁の状態チェックや雨どいの掃除を行う

木造住宅の寿命を延ばすためには、外壁の状態チェックや雨どいの掃除が欠かせません。

外壁は建物を外部からの風雨や紫外線から守る重要な役割を果たしていますが、経年劣化や気候の影響により劣化しやすいです。定期的な外壁の点検を行い、ひび割れや塗装のはく離、腐食などの異常を早期に発見して修復することで、木造住宅の耐久性を保つことができます。また、細かなひび割れの場合は自分でシーリング剤での補強で済む場合もあるので、コストを抑えられます。

また、雨どいや屋根からの排水の定期的な掃除やメンテナンスも重要です。特に雨どいは葉っぱやゴミなどによって詰まりやすく、それによって地盤の浸食や建物への浸水リスクを高めてしまいます。雨どいや排水溝、屋根の状態を点検し、詰まりや破損があれば早急に対処して、木造住宅の構造的なダメージを防いでいきましょう。

4.まとめ

一般的に木造住宅の寿命は短いといわれていますが、それはメンテナンスによって変わります。全く何もしない状態で住んでしまうと2~30年しか維持できないこともあるでしょう。その一方、10年おきに塗装などのメンテナンスを行い、家の状態をチェックして必要に応じてリフォームをすれば、木造住宅の寿命は60年以上キープできます。

今お住いの家の寿命を伸ばすためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。特に、自分でできる外壁の状態チェックや雨どいの掃除、水回りの点検などは重要です。まずは今日からできることに取り組み、掃除しながら家の状態をチェックしていきましょう。

参照:木造住宅の寿命を延ばす方法4選!高温多湿の日本では寿命が短い?耐用年数との違いは? – リビンマッチコラム (lvnmatch.jp)