危険なほどの暑い日が続く中でも、なかなかエアコンのスイッチを押さない人がいます。とくに高齢者はエアコンに対する苦手意識が強く、どうすればエアコンを使ってもらえるのか困る家族も多いです。そこで今回は、エアコンが苦手という人はどんな所が嫌なのか、どうすれば上手に使えるようになるのかを考えてみました。エアコンを不快に感じない方法や、電気代を抑えるコツも紹介するのでぜひ参考にしてください。

1. 猛暑は続くがエアコンが苦手という人は一定数いる

猛暑が続く中、エアコンが苦手な人々が少なからず存在します。その代表的な理由は以下の通りです。

1-1.エアコンの風が自律神経に悪いから

エアコンの風が、人体の自律神経に悪い影響を及ぼすケースがあります。自律神経は、体温や血圧、心拍数などを制御し、体内の恒常性を維持する重要な役割を果たしています。しかしエアコンの風が直接身体に当たると、

  • 頭痛
  • めまい
  • だるさ
  • 腹痛
  • 血流の悪さ

これらの体調不良を引き起こすことがあります。理由はエアコンの風が直接体にあたると、体温を急激に下げてしまい、血管が収縮して血流が悪くなります。これにより自律神経のバランスを乱し、頭痛やめまい、だるさなどの症状を引き起こすことが考えられます。こうした情報はメディアでも昔多く取り上げられたため、エアコンは体に悪いものと思い込んでいる人もいるでしょう。

1-2.電気代が掛かる、体が冷えすぎる

電気代を気にしてエアコンをつけない人も多いです。確かにエアコンの運転には一定の電気代がかかります。特に近年は電気料金が上昇しているため、経済的な負担を避けるため「少し暑いけど我慢しよう」と考える人がいます。しかし40度に迫る猛暑が少なくない日本では、その考えはとても危険です。

また、特に女性や高齢者の場合、長時間のエアコン使用で体温の低下が起きるケースがあります。エアコンが効いた環境下では、室温が下がりすぎて体温調節が乱れ、体温が低くなります。特に部屋の中が冷え込むと、体が冷えすぎてしまい、体調不良を引き起こすことも。健康を維持するためにも、上手なエアコンの使い方する必要があります。

1-3.高齢者の場合暑さを感じにくいから

高齢者は、若い人に比べて暑さを感じにくいです。これは、年齢とともに皮膚の感覚や汗腺の働きが低下し、暑さを感じにくくなるためです。高齢者の体が外部からの温度変化に対して鈍感になることがあり、その結果、暑さを適切に感じ取れないことがあります。

そのため、高齢者はエアコンを必要以上に使わない傾向があります。実際は汗をかいていても自分は暑さを感じていないため、エアコンをつけません。結果的に体の水分が奪われ、熱中症を引き起こすリスクがあります。

高齢者は体温調節機能が低下しているため、適切な温度管理が重要です。暑い環境下で体温が上昇すると、体内の臓器や代謝に負担がかかる可能性があります。適度な冷房を保ちつつ、高齢者の健康と快適な環境を確保する配慮が必要です。

2.不快に感じない|エアコンの上手な使い方

このように、エアコンに対して苦手意識を持っている人はなかなかエアコンを付けず、熱中症などのリスクが高まります。ここからはエアコンをうまく利用して、寒すぎず快適な環境を作るためのポイントを5つ紹介します。

2-1.エアコンの風向きは「水平」、風を直接身体に当てないようにする

エアコンの風向きは水平に設定したほうが、冷たい風が天井や壁に反射して均等に広がります。これにより、室内全体に涼しい空気が行き渡り、温度差を軽減する効果があります。取り付けてあるエアコンの場所や部屋の広さによって風向きは変わるので、風が直接体に当たらないよう工夫してみましょう。

エアコンの風が直接体に当たると、血管が収縮して血流が悪くなるため、体温の調節がさらに難しくなることがあります。特に寝ている間など、体がリラックスしているときに風を直接受けると、だるさや頭痛などの原因にもなりやすいです。ソファの位置なども考慮し、エアコンの風向きを直接人に当たらないよう設定していきましょう。

2-2.扇風機や窓からの風をうまく利用する

室内に扇風機を配置すると、エアコンの冷風や暖房を効果的に循環できます。これは扇風機の風が室内の壁や家具に当たり、風の反射によって空気が均等に広がるためです。冷房された空気が部屋全体に行き渡り、温度差を軽減するということは、直接人に冷気が当たるのも防げます。

さらに、エアコン中でも窓からの風を取り入れることが重要です。自然な風が室内に流れ込むことで、新鮮な空気が循環し、室内の湿度や空気の質を改善できます。特に夜間や早朝の涼しい時間帯に窓を開けて自然な風を取り入れることは、部屋に溜まった二酸化炭素を放出し、新鮮な空気を取り入れる効果も。エアコンと扇風機、ときには窓からの風を組み合わせて利用し、快適な室内環境を実現しましょう。

2-3.15年以上経過しているエアコンは買い替えを

15年以上使用しているエアコンは、たとえ問題なく使えても下表のようなデメリットがあります。

デメリット内容
エアコンの性能劣化 15年以上経過したエアコンは長期間の使用によって内部の部品や冷媒が劣化し、効率的な冷房や暖房が難しくなっている。
人への負担 特に15年以上使用しているエアコンは、ただ冷やすだけの効果にとどまり、直接冷風が人に当たるといったデメリットも。最新のものは機能性が高く、体を必要以上に冷やさない
電気代が高い 古いエアコンは最新技術に比べて冷房や暖房の効率が低く、電力消費量が増加する。最新のエアコンに比べ電気代が2倍というケースも
故障のリスク 長期間使用したエアコンは内部の部品や機構に摩耗が進み、故障やトラブルのリスクが増加する可能性がある。

古いエアコンは、最新の技術に比べて冷房や暖房の効率が低下しているため、電力消費量が増加し、電気代が高くなります。また、室内の温度調節が難しく、快適な環境が維持できないことも多いです。真夏に壊れてしまうと暑い中過ごすリスクもあるので、壊れる前に早めの買い替えを検討しましょう。省エネタイプのエアコンの場合、国や自治体から補助金制度が使えることもあります。

参照 https://www.tokyo-co2down.jp/subsidy/katei-zeroemi

2-4.高齢者の熱中症対策にはエアコンの遠隔操作も

高齢者は熱中症のリスクが高いため、暑い季節には適切な対策が不可欠です。「親がどうしてもエアコンを付けてくれない」といった場合は、エアコンの遠隔操作も検討しましょう。

エアコンの遠隔操作機能は、高齢者が自宅にいる際でも室温をリモートで調整できる便利な機能です。家族や介護者が外出中でも、スマートフォンやタブレットを通じてエアコンを制御できます。

また、同居している家族であれば、リモコンを子供が管理する方法もあります。エアコンは基本的にリモコンでしか操作できないため、猛暑日にエアコンを付けたら消されないよう、リモコンを管理しても良いでしょう。ある家ではどうしても親がエアコンをつけないため、あえて背が届かない場所にリモコンを設置し、背の高い子供が空調を管理している例もありました。

2‐5.家をリフォームし、高断熱の家にする

家が古く、リフォームを検討しているのなら、高気密高断熱の家に変える方法がおすすめです。高断熱の家はエネルギー効率を向上させるため、エアコンの台数が少なくて済みます。またガンガンに冷やさなくても家全体を効率よく涼しくしてくれるため、エアコンによる不調などは起こりにくいです。

家全体のリフォームが難しくても、壁や屋根、床などに断熱材を追加するだけでも効果はあります。断熱材と聞くと冬のイメージがありますが、室内の温度を保つ効果があるため、夏も涼しくなります。家を高断熱にリフォームすることで冷暖房の使用頻度を減少させ、エネルギーコストの削減につながります。

2‐6.すだれやよしずも活用しよう

しかし急に家のリフォームをしたり、エアコンを最新のものに買い替えたりするのは難しいこともあるでしょう。そんなときは、ぜひ家の外側に「すだれ」や「よしず」の活用を検討してください。

すだれやよしず、日よけシェードを貼るメリット

1.日射を遮り、エアコンの効き目がアップする
すだれやよしずは、外からの日差しを遮る役割を果たします。これにより、室内に直射日光が入り込むのを防ぎ、室内温度の上昇を抑えることができます。日射を遮ることで、エアコンの効果を最大限に引き出すことができます。

2.室内の温度上昇を軽減できる
日差しによる室内温度の上昇を抑えることで、エアコンの冷房負荷を軽減できます。冷房をより効率的に使用することで、電力消費を削減し、電気代を節約することも可能です。

3.適切な室温を維持しつつ、目隠しにできる
シェードなどを活用することで、室内温度の上昇や変動を防げます。また窓を開けても目隠しの役割があり、自然な風も取り入れられます

すだれやよしず、シェードなどは価格を抑えてエアコンの効率をアップできます。適切な室温設定と遮光具の組み合わせにより、快適な室内環境を維持しつつ、エネルギー効率の向上にも期待できるでしょう。

3.まとめ

エアコンを使う際は風の影響や電気代、高齢者の注意点にも留意しましょう。風向きを調整したり、遠隔操作を活用したりする工夫で、熱中症を防ぎつつ効果的に使用できます。さらに、家のリフォームやすだれやシェードなどの利用により、エアコンの効率はさらに向上できます。これらの対策を組み合わせて実践し、暑い夏を快適に過ごしましょう。