住宅の外壁は過酷な環境にさらされています。耐久性が良いとされているサイディングでも、永久的なものではありません。いくら保証期間が長くても、メンテナンスの時期が必ずやってきます。サイディングで覆われた住宅はいつ、どんな状態になったらメンテナンスをしなければならないのでしょうか?ここではサイディングのメンテナンスについて分かりやすく紹介します。

1.サイディングのメンテナンス周期は素材によって異なる

サイディングのメンテナンスは、素材によって異なるもののおよそ7~15年おきに必要です。以下はサイディングの種類と特徴、おおよそのメンテナンス周期です。

サイディングの種類特徴メンテナンス周期
窯業系サイディングセメント質原料、日本の住宅に多い7~10年
金属系サイディングアルミニウムやスチール素材でできたもの10~15年
木質系サイディング天然木や合板を主材とするもの10年
樹脂系サイディング塩化ビニル素材、欧米で多い10~20年

窯業系サイディングは日本で最も普及しており、塗料の劣化が見られる場合は7年から10年ごとのメンテナンスが推奨されます。

金属系サイディングは窯業系サイディングに比べてメンテナンス周期が長く、10年から15年が目安です。ただ、サビなどの発生も考慮しなければなりません。

樹脂系サイディングは日本ではあまり普及していませんが、雨や塩害に強く色褪せも少ないです。メンテナンス期間は10~20年で、一部では30年の保証もありますが、施工費用は高額です。

最後に木材を主に使った木質系サイディングは木の質感があり、断熱性にも優れていますが、湿度の高い場所ではメンテナンス期間は8年から10年になります。

どの素材の外壁でもメンテナンスなしで長持ちさせることは難しいので、劣化を感じたらメンテナンスを行いましょう。

サイディングに掛かる費用は、その状態や修理内容によって異なります。どのメンテナンスを選ぶかは後半に紹介するので、ここではおおよその値段について紹介します。

メンテナンスの内容おおよその値段
シーリング材の打ち増し20万~30万円
シーリング材の打ち替え25万~40万円
サイディングの塗り替え70万~150万円
サイディングの重ね貼り150万~200万円
サイディングの張り替え180万~300万円

上記の費用は参考値であり、実際には外壁の面積や使用する塗料によって異なります。足場代も含まれていますが、具体的な金額は個別の見積もりによって違うことを覚えておきましょう。

参照 https://rehome-navi.com/articles/2290

2.どのような状態になったらメンテナンスをするべき?

そもそもサイディングは、板状の外壁素材で、セメント質と繊維質を主成分としています。建物に合わせてボードが取り付けられ、シーリング材で接合されます。

以前はモルタルが一般的な外壁材でしたが、施工時間や費用がかかり、ひび割れが起こりやすいというデメリットがありました。一方、サイディング外壁は施工時間と費用が少なく、耐火性にも優れています。しかし熱を吸収しやすい特性と、シーリング材の劣化が目立つデメリットもあります。美しく丈夫なサイディングをキープするため、劣化を発見したらすぐにメンテナンスを行いましょう。ここからは、サイディングの具体的なメンテナンス方法を紹介します。

2-1.シーリング材の打ち換え

シーリングの打ち換えとは、目地の継ぎ目にあるゴム状のつめものを新しくする工事です。サイディングの工事のなかでは割と簡単に済みます。サイディングに次のような状態が出てきたら、シーリング材の打ち換え工事を行いましょう。

  • シーリング材に細かいヒビが生えている
  • シーリング材全体が細くなってきた
  • シーリング材が破断している

外壁の目地部分や窓枠周辺では、通常コーキング(シーリング)が使用されます。しかしこのコーキングは、約5〜10年で劣化し、次第に肉痩せやひび割れ、剥がれ、破断、欠損などの兆候が現れます。

樹脂系サイディングなど、一部の外壁材では目地にコーキングを使わない場合もありますが、窓枠周辺には一般的にコーキングが使用されます。コーキングは防水や振動吸収の役割を果たすため、どの外壁材であっても定期的なメンテナンスが必要です。サイディングの工事から5年以上経過している場合は、定期的なコーキングの交換や修理を行いましょう。

2-2.サイディングの塗り替え

サイディングの表面を塗り替えることで、塗装の劣化を防ぎます。サイディングをそのまま放置しているとボード自体が水を吸い、乾燥などを繰り返すうちに割れ目や浮きが生じます。次のような症状がサイディングに現れたら、塗り替え工事を検討しましょう。

  • サイディング自体が色あせてきた
  • 手で触ると白い粉がつく、いわゆるチョーキングが発生している
  • 塗膜のはがれがある、表面がポロポロ落ちてきた

サイディング表面の劣化は、主に雨風や熱による塗膜の劣化です。そのまま放置しておくと、塗膜が徐々に剥がれてしまいます。

塗膜の剥がれを放置すると、サイディング材のひび割れや雨漏りのリスクが高まるため、早めに塗装によるメンテナンスが必要です。もし劣化が進んで再塗装だけでは修復できない状態になると、張替えなどの工事が必要になることもあります。

塗り替えは、使用する塗料の種類によって持ちが違います。今後も長期間その家に住む場合は、ある程度コストをかけて保証期間の長い塗料を使ったほうが良いでしょう。

2-3.サイディングの張替え

サイディングのメンテナンスには、古いボードを撤去して新しいサイディングボードに張替える工事もあります。これは、サイディングの状態がとても劣化しているケースです。

  • サイディング自体が浮いている
  • サイディングが反り返っている
  • 割れやヒビ、欠けがある
  • ボード自体に痛みがあり、水がしみている

外壁のサイディングが浮いたり反ったりしている場合、防水効果が低下している可能性が高いです。

さらに浮きや反りを放置すると、外壁の隙間から雨水が侵入し、下地や建物内部の腐食を引き起こす可能性があります。反りが進行すると、状態が悪化し、サイディングの張り替えや雨漏りの修繕など、大規模な工事が必要です。

サイディングの浮きや反りを発見したら、なるべく早めに専門業者に点検してもらいましょう。

ちなみにサイディングの張替えを行う目安は、平均的に見ると30~40年です。ただし、その間にサイディングの塗り替えやシーリング材の打ち換えなど、細かいメンテナンスをしておけば張替えをしなくても済むでしょう。全くメンテナンスをしないで経年劣化してしまうと、早い時期に張替えの必要もあるので注意が必要です。

3.サイディングを長持ちさせるコツは?

最長30年保証のサイディングもあるなか、本当にそこまで長持ちするかどうかは家主のメンテナンスがポイントです。サイディングの選び方や外装のチェック、洗浄などにも注意して長持ちさせていきましょう。

以下参照 https://www.narashino-kensou.com/column/4515/

3-1.その家に合ったサイディングを施工する

まずはその家に合うサイディングの素材を選ぶことが重要です。サイディングには様々な素材があり、窯業系、金属系、樹脂系、木質系などがあります。それぞれの特性やメリット・デメリットを理解し、目的や予算に応じて適切な素材を選びましょう。

例えば金属系はメンテナンスが少なく、耐久性が高いですが、サビに注意が必要です。雨量の多いエリアや、潮風が吹く地域には向いていません。

そして樹脂系は雨や塩害に強く、長いメンテナンス期間を持っていますが、施工費用が高くなります。木質系は木の質感があり、断熱性に優れていますが、湿度が高い環境では注意が必要です。適切なサイディングを選ぶことで、外壁の耐久性や美観を向上させることができます。

3-2.こまめな外壁チェックを行う

定期的な外壁の点検は、サイディングの劣化や損傷を早期に発見し、適切なメンテナンスを行うために重要です。以下は自分でできる、簡単なサイディングのチェック方法です。

目視でチェックしよう

外壁を日頃から目視で確認しましょう。ひび割れや塗膜の剥がれ、サイディングの浮きや反りなど、異常がないかを注意深くチェックします。特に、窓枠周辺やサイディングの接合部、角部など、水が侵入しやすい箇所に注意を払いましょう。

経年変化の観察

外壁の色あせや変色、サビの発生、汚れの蓄積などを観察します。これらは劣化のサインであり、適切なメンテナンスが必要かどうかを判断する手がかりになります。

専門業者の点検:

定期的な点検を専門の業者に依頼することも大切です。プロによるメンテナンスは細かい損傷や劣化を見逃さず確認してくれます。

外壁チェックは季節ごとに行うと良いです。また、大雨や強風などの天候の後にもチェックを行い、損傷がないか確認しましょう。早期に異常を発見し、必要なメンテナンスや修繕を行うことで、サイディングの寿命を延ばし、建物を保護することができます。

3-3.高圧洗浄は要注意、ホースでブラシをかけながら洗おう

サイディングの洗浄には高圧洗浄機を使用することがありますが、注意が必要です。適切な水圧や角度で使用しないと、サイディングの表面や目地のシーリングが損傷する恐れがあります

施工主が外壁を洗うときは、ホースやブラシを使って軽く洗浄しましょう。汚れの頑固な箇所は専門業者に相談したほうが破損を防ぐことができます。

4.サイディングは永久ではない こまめなメンテナンスで美しい外壁を保とう

サイディングは永久的な外壁材ではありません。外壁がサイディングだからといって、何十年も放置することはできないのです。

サイディングは定期的なチェックや劣化のサインの確認、必要な修繕や塗装の実施など、手入れを怠らずに行うことが重要です。風雨や紫外線などの外部要因から守るためにも、外壁の点検や清掃を季節ごとに行いましょう。

また、専門業者による定期的な点検も有効です。早期に異常を発見し、適切なケアを行うことで、サイディングの寿命を延ばし、美しい外観を保つことができます。大切な家の外壁を長く美しく保つために、定期的なメンテナンスを行っていきましょう。