いつおこるか解らない自然災害。いつ自分たちの住んでいる地域で起きてもおかしくありません。  実際にホームセンターで買える防災袋や、行政が推奨する防災グッズの情報などをじっくりと見たことがありますか?                                       非常用持ち出し袋の中身には必要とされるものが入ってはいます。しかし、それだけでは自分の命や 体の健康を保つのは難しいのではないかと私的には思います。                  ここでは、いざというときのために、本当に必要になるのではないかと思われる非常用持ち出し袋の中身について考えます。

1.非常用持ち出し袋とは

非常用持ち出し袋とは、災害が発生した時やその避難のために、救援物資がなくても過ごせるように準備するものです。ホームセンターや大手スーパーでも販売されていることが多く、生活物資を中心に用意されています。

ホームセンターやネット通販では、非常用持ち出し袋として多くのグッズが入った商品が売られています。この中身の一例は以下の通りです。

多機能リュック、ランタン、ラジオライト、乾電池式モバイル充電器、単三乾電池、単四乾電池、歯ブラシセット、エアーベッド、絆創膏、軍手、レインコート、非常用トイレ、個包装マスク、 からだ拭きシート、飲料水用給水袋、防災ハンドブック、内容物一覧チェックシート、4層アルミシート、カイロ、クールタオル、アルファ米、えいようかん、5年保存水

上記のような非常用グッズがあれば、確かに震災が起きても3日程度は食料の心配はないでしょう。ただし、本当に必要な非常用グッズというのは、人によって異なります。

2.本当に必要な非常用持ち出し袋の中身とは

ホームセンターなどで販売されている非常用持ち出し袋でも、数日間なら事足ります。ただし、実際に避難生活を送る場合は長期化することも多く、本当に必要なものとそうでないものが出てきます。ここからは、実際に避難をした人の意見も参考に、本当に必要な非常用持ち出し袋の中身について紹介します。

2-1.トイレ

日本で起きている大災害でもっとも困るのがトイレです。避難所でもトイレは汚れつまりなどが起き、結局長期間使えなくなるケースもあります。自宅での避難が可能であれば、携帯用トイレなどを常備していざというときに備えましょう。

あると便利な災害用のトイレ
名称 内容
災害用トイレ 尿を固める凝固剤や尿を吸収する吸水体と、処分用の袋がセットになったもの。自宅の便器に設置するタイプや地面に置いて使うタイプ、携帯用のトラベルトイレなどがある。
携帯トイレ 100円ショップなどで手軽に購入できる。 単独使用する場合や非常時の移動に便利。ただし1人で1日に5個使うとしても、家族全員分の数を揃えるとコストがかさむデメリットも。

例えば4人家族の場合1日一人5個使うと計算すると、合計20個必要です。最低でも三日分は必要なため、携帯トイレは少なくとも60個ほどは家に常備しておいたほうがいいでしょう。非常用持ち出し袋にも、5~10個入れておいた方が安心です。

2-2.2リットルだけでなく小分けになった水

2リットルの水は災害時に役立ちますが、実は小分けになった水も常備しておきたいアイテムです。

メリット 内容
持ち運びが簡単 小分けになった水は、大きなペットボトルよりも持ち運びが容易であり、非常時の移動や運搬に便利。子供でも持ちやすい
分配しやすい
コップ代わりになる
小分けになった水は、複数人で分配しやすく、家族や仲間との共有がしやすい。コップ代わりにもなる
衛生的な飲み物供給 小分けになった水は、一度に必要な量を開封できる。飲みかけの水がない状態で保管でき、衛生的な飲み物供給ができる
長期保存に適している 小分けになった水は、一度に必要な量だけを開封するため、未使用の水は汚染や蒸発のリスクが低く、長期保存に適している。

これらの理由から、災害時には小分けになった水が便利なのがわかります。500ml程度の小分けの水も非常用持ち出し袋に入れておきましょう。

2-3.お茶やジュースなど味の違う飲み物

災害=水が大切、といったイメージもありますが、実は味の違う飲料があるとストレス解消にも役立ちます。

メリット 内容
栄養摂取に役立つ 味の違う飲み物があると、飽きずに栄養摂取ができる。特に子どもや高齢者など、食事が不安定な人にとって重要。
ストレスの解消 味の違う飲み物があると、精神的なストレスを和らげる効果がある。 ホッと一息つく時間を提供できる
水分補給の促進 味の違う飲み物は、水分補給の促進に役立つ。喉の渇きを感じにくくし、積極的に水分を摂取するきっかけになる。
衛生面の配慮 味のついた飲み物は、殺菌された缶やパック入りなどの衛生的な包装で提供されるため、衛生面の心配が少ない。

普段から、常温で保存できるジュースやお茶などを準備しておくといいでしょう。特に甘い飲み物は災害時に疲れた心身を癒す効果もあります。

2-4.充電器やイヤホン

今や生活に欠かせないツールであるスマホ。自由に使えることで災害時の情報収集やストレス解消にも役立ちます。そのためには充電器やイヤホンも非常用持ち出し袋に入れておくと便利です。

メリット 内容
コミュニケーションツールに役立つ スマートフォンや携帯電話を充電できる充電器があると、非常時にも家族や友人と連絡を取り合うことができる。
情報収集ができる スマートフォンやラジオアプリなどを使用して、最新の災害情報や避難情報を入手できる。 緊急時のアラート機能も活用できる。
ストレス軽減に役立つ 音楽などを聞くときにイヤホンがあれば便利。眠れないときもイヤホンで回りの音を遮断できる
娯楽や気晴らし 充電器やイヤホンがあれば、スマートフォンやタブレットを使用して、動画やゲーム、読書などの娯楽を楽しめる。

こうした理由から、災害時には充電器やイヤホンもあったほうが良いです。

2‐5.おしりふきやウェットティッシュ

災害時には水が利用できないことが多く、おしりふきやウェットティッシュがあったほうが便利です。乳幼児がいる場合はもちろんのこと、おしりふきはウェットティッシュの代わりにもなるので一般家庭でもあれば便利です。ウェットティッシュは避難先でも衛生的な状態を保つための必須アイテムです。

2‐6.はさみや生理用品、コットンなど

ハサミや生理用品、コットンなどの小物類も常備しておきたいアイテムです。

メリット 内容
はさみは多方面で使うことが多い はさみは、衣服の裁断や包装の開封など、さまざまな用途に使用できる。避難所でも使うことは多いので常備しておくと便利
衛生管理 生理用品は、女性の生理管理に必要なアイテム。 コットンは、傷口の清拭や消毒、保護に使用できる。
必需品の補充 はさみや生理用品、コットンなどは、日常生活で使われる必需品。顔を洗えない場合も濡らしたコットンで拭くということで代用できる

女性がいる場合、生理用品は必要不可欠なアイテムです。コットンは顔を拭くことはもちろん怪我をしたときの処理にも便利なので、非常用持ち出し袋に入れておくといいでしょう。またハサミは小型のものもあるので、かさばらないようなサイズをいれておくと安心です。

2‐7.薬

普段から常備薬を飲んでいる人は、非常用持ち出し袋に入れておくと安心です。それが難しい場合は常に薬を持ち運べるような場所に置きましょう。また通院している、病気を抱えているといった人は、お薬手帳や薬の説明書などもあったほうが安心です。

3.ローリングストックが緊急時に役立つ

非常用持ち出し袋を常備し、いざというときに持ち運んで使うことは重要ですが、それと同じように家に常備しておきたいものがあります。それが、食料を中心としたローリングストック方法です。ローリングストックは「回転備蓄」とも呼ばれ、日常生活で使用しながら無くなったら買い足す、という方法です。普段から食べている水や食品を多めに購入し、日常で食べつつ必要な分だけ買い足す方法を心がけましょう。

ローリングストックに常備しておきたいもの

  • パックご飯や缶詰、レトルト食料
  • 水、お茶などの飲料(最低3日分)
  • カセットコンロ
  • ガスボンベ
  • タオル
  • うちわ、カイロなどの暑さ寒さ対策
  • モバイルバッテリー、電池
  • 除菌シート、トイレットペーパーなどの衛生用品
  • お菓子・コーヒーなどの嗜好品

上記のような食料や飲料、調理器具、衛生用品があれば、自宅避難でも、避難先での一時期待でも快適な生活を送るためのアイテムになります。家族の人数や個々のニーズに合わせて備蓄量を調整し、自宅でも災害時の準備を心がけましょう。

4.まとめ

非常用持ち出し袋は常備しておきたいものの、あれもこれも…と考え出すときりがありません。まずはローリングストックとして水や食料をしっかり日頃から準備し、必要最低限の食料と生活用品を持ち出し袋にいれておくと便利です。

災害はいつどこで起きるかわかりません。まだ災害に合っていない人は「たまたま運が良い」だけであり、これからどんなことが起きるか分かりません。いざというときの命を守るためにも、必要最低限の準備はしておきましょう。

参照 3度の災害を経験した防災士に聞く、防災グッズで本当に必要なものとは? | 東京ガス ウチコト (tg-uchi.jp)