近年、家を建てる際に「バルコニーは要らない」と考える人が増えています。しかし、バルコニーを持つことにはメリットもあります。これから家を建てる場合、本当にベランダやバルコニーは不要なのでしょうか?

今回は、バルコニーの必要性とそのメリット・デメリットを徹底解説します。

1.バルコニーは要る?要らない?

バルコニーの有無については意見が分かれます。「バルコニーはいらない」と考える派と、「バルコニーは必須」と考える派。ここからはそれぞれの理由を見ていきましょう。

1-1. バルコニーを「いらない派」という意見

まずはバルコニーをいらないと考える人の意見です。確かにバルコニーを作らないと、コストを抑え掃除の手間も減ります。最近ではランドリールームの普及もあり、外干しの機会が減少しているのも影響しているようです。

1-1-1.いらない派のメリット:コスト削減

バルコニーの建設には、床の防水加工や手すりの設置などの費用がかかります。

バルコニーを設置しなければ、家全体の建築コストを削減できます。例えば、その分をリビングの拡張や収納スペースの充実に充てることも可能です。

またバルコニーがあると、定期的な防水処理や劣化部分の修繕費も発生します。バルコニーを省略することで、長期的なメンテナンス費用も抑えることができます

1-1-2.いらない派のメリット:掃除の手間が減る

バルコニーは、雨風で飛んでくる砂ぼこりや鳥のフンなどで頻繁に汚れます。定期的な掃除が必要ですが、バルコニーがなければその掃除負担がなくなります

またバルコニーがそもそもなければ、天候の影響を受けにくいです。屋外に干した洗濯物が雨に濡れたり、突風で飛ばされたりする心配もありません。その分コインランドリーや室内干しスペースを活用すれば、生活は効率化できるでしょう。

1-1-3.いらない派のメリット:防犯面の改善

特に2階以上に設置されたバルコニーは、不審者が足場として利用しやすいです。バルコニーをなくすことで、家の防犯性能が向上します

また小さな子どもがいる家庭では、バルコニーからの転落事故の心配があります。バルコニーを省略すれば、こうしたリスクも軽減されます。防犯面や安全性からの観点からも、バルコニーは不要という意見があります。

1-1-4.いらない派のメリット:プライバシーが守られる

バルコニーがあると、近隣の建物や通行人の視線が気になる場合があります。バルコニーをなくすことで、窓から直接家の中が見られるリスクが減り、プライバシーが確保されます

また最初からバルコニーがなければ、カーテンや目隠しを設置する必要もありません。その分のコストが必要もなく、外部からの視線も防げるでしょう。

1-2.バルコニーは「要る派」の意見

その一方、バルコニーを必要と考える人も多いです。その主な理由は、リフレッシュスペースとしての活用や、家事の効率化、非常時の避難経路としての役割があるからです。

1-2-1.バルコニーは部屋の中から外へつながる空間

バルコニーがあると室内から見える景色が広がり、家全体に開放感を与えます

特にリビングに隣接している場合、外と内が一体化したような空間設計が可能になり、居住性が向上します。

また近年ではテレワークなどが増えており、バルコニーは家の中から手軽に外気を感じられるスペースとして重宝されます。日光を浴びることで気分転換にもなり、健康的な生活をサポートしてくれるでしょう。

1-2-2.洗濯物や布団を外に干せる

バルコニーがあれば、晴れた日には洗濯物や布団を外に干せます。太陽光による乾燥は、部屋干しや乾燥機と比べて短時間で済み、電気代の節約にもつながります。また、太陽光には殺菌効果があり、衣類や布団を清潔に保てます。

そしてバルコニーは部屋の湿気対策にも有効です。

室内干しでは湿気がこもりやすく、部屋の空気がこもる原因にもなります。その点外干しは湿度管理ができ、カビやダニの発生も抑制されます。

1-2-3.窓の掃除が楽になる

バルコニーがあると、外側の窓掃除が楽になります

バルコニーがあったほうが窓ガラスやサッシ部分を安全に掃除でき、専用の清掃道具や高所作業も不要です。

またバルコニーが窓の外に設置されていた方が、雨風による汚れやほこりが直接窓に付着するのを防げます。

1-2-4.外気を感じるスペースとして活用

バルコニーは、ちょっとした休憩や気分転換に最適なスペースです。

椅子や小さなテーブルを置いて、コーヒーを飲んだり読書をしたりもできます。狭いスペースでも緑を取り入れることで、リラックス効果が高まるでしょう。

またバルコニーはちょっとしたアウトドアとしても活用できます。植物を育てたり、子どもが遊んだりするスペースとしても活用可能で、住まいに多機能性をもたらします。

2.バルコニーはあってもなくても良し悪しがある

このようにバルコニーは不要という意見と、やはりあったほうが良いという意見に分かれます。どちらが正しいということはありません。自分が生活するうえで、本当に必要なのか見極めたうえで設置を検討した方が良いでしょう。ここからは、あらためてバルコニーの良し悪しについて考えましょう。

2-1.あればリフレッシュの場として活用できる

バルコニーがあれば、わざわざ外出しなくても自然の空気を感じられます。例えば、朝の光を浴びる、夜に涼しい風にあたるなど、日常生活の中でリフレッシュできる時間を作ることが可能です。

特に都市部では、緑を取り入れたバルコニーガーデンを楽しむ人も増えており、植物を育てることで心が落ち着きます。バルコニーがあると、精神的な充足感を得られるメリットはあるでしょう。

2-2.非常時の避難場所としても活用できる

バルコニーは時に災害時の避難経路にもなります。

集合住宅の場合は特に、バルコニーが隣家との隔壁を破って避難できる構造のものが多いです。しかし戸建てにおけるバルコニーも、そうした役割を果たすケースがあります。

例えば火災が生じて外に出る必要がある場合、バルコニーをつたって下に降りられるケースもあるでしょう。また隣家と距離が近ければ、声をかけてそこから逃げる方法もなくはありません。住宅の立地状態によっては、バルコニーを設置したほうが安全性は高まる場合もあります。

2-3.設置にはコストがかかる

しかしバルコニーを作ることは建築コストが掛かります。下表はバルコニーを設置した場合にかかるコストの項目です。

バルコニーにかかる費用 詳しい内容
建築コスト バルコニー設置には材料費や設計費が必要。一般的には30~100万円。特に大きなバルコニーや特殊デザインでは追加コストが発生する。
メンテナンスの負担 風雨による劣化を防ぐために、塗装、防水加工、排水溝の掃除などの定期的なメンテナンスが必要。施工時には5~10万円ほどかかることが多い。古い建物ではさらに補修や交換が必要になる場合がある。
清掃の手間 砂埃や鳥のフンで汚れやすい。掃除を怠ると見た目が悪化し、排水の詰まりなどの問題が発生する可能性がある。

バルコニー設置には便利さがある反面、長期的なコストと手間が発生します。設置の際はこうした負担を考慮しなくてはなりません。

参照:https://www.tbs-housing.com/column/knowledge-information/custom-home-balcony

3.「バルコニーいらない派」におすすめの住まい方

いろいろと考えた結果、やはりバルコニーはいらないと考える人もいるでしょう。しかし完全に失くしてしまうと、先の生活に少々不安が残ります。そのような場合は、バルコニーの代わりに以下のような生活アイデアを取り入れましょう。

生活アイデア 具体的な方法 メリット
庭を活用 ・広い庭を設置する
・ウッドデッキやテラスを導入する
・外でくつろげるスペースを確保できる
・ガーデニングや遊び場として活用可能
ランドリールームの導入 ・洗濯物専用の室内スペースを設置する ・天候に左右されずに快適に洗濯可能
・室内の見た目もスッキリする
大きな窓で通風を確保 ・窓を大きく取り、風通しを良くする ・自然光が入り、風通しが良くなる
・室内が明るく、快適な空間を作れる
洗濯乾燥機の利用 ・乾燥機付き洗濯機を導入する ・洗濯・乾燥が一括で可能
・時間と労力を削減できる
室内物干しスペースを確保 ・壁掛け式物干しや取り外し可能な物干しポールを設置する ・スペースを有効活用
・必要なときだけ設置することで室内がスッキリできる

これらの工夫を取り入れることで、バルコニーがなくても快適で機能的な住まいを実現できます。特に、室内外のスペースを活用する工夫は重要です。

4.バルコニーは要る?要らない?

バルコニーの有無は、ライフスタイルや家の設計に大きく影響します。

バルコニーは「要る派」と「要らない派」に分けて意見がありますが、最終的な選択は個々のニーズや生活スタイルによるでしょう。

バルコニーがなくても、代替案として庭やランドリールームを導入することで、快適な生活空間は確保できます。家の設計や生活スタイルに合わせて、バルコニーが必要か不要かを決定していきましょう。