家族の衣類をまとめて収納できる大きなクローゼットがあれば、家のあちこちに各自の服を運ぶ手間が省け、家事がぐっと楽になるでしょう。
大型クローゼットの種類は大きく分けて2種類。出入り口が1つのウォークインクローゼットと複数の出入り口があるウォークスルークローゼットです。
ここではそれぞれの特徴やメリット・デメリットを比較し、どちらが家族にとって最適かを考えます。
1.ウォークインクローゼットの特徴と収納力
ウォークインクローゼットとは、部屋の一部または独立した空間として設けられた大型の収納スペースです。
人が中に入って歩き回れるほどの広さがあり、衣類やバッグ、靴、小物などを収納するために設計されています。
ウォークインクローゼットの特徴
●大容量収納:家族全員の衣類や季節用品を一箇所にまとめられる。
●整理整頓がしやすい:ハンガーパイプや棚を自由に配置して収納物を見やすく保管できる。
●プライベートな空間:独立性が高く、収納した物が生活空間から見えにくい。
ウォークインクローゼットは広いスペースを必要としますが、収納力や利便性が高いため、多くの家庭で人気があります。
1-1.ウォークインクローゼットのメリット
ウォークインクローゼットは広いスペースがあるため、家族全員の衣類や小物類などさまざまなものを一箇所に収納できます。
これにより、家中の収納が分散することなく、管理が簡単です。また大型の収納家具を別途購入する必要がなくなり、部屋のスペースを広く使えます。
さらにウォークインクローゼットがあれば、専用の空間を作ることでプライバシーを確保できます。個別のドアを設置すれば、生活空間と完全に分離されるため、見た目の美しさも保たれるでしょう。一目で収納物が見渡せる設計なので、衣類や小物類を探す手間も省けます。
1-2.ウォークインクローゼットのデメリット
ウォークインクローゼットは十分な広さを必要とするため、居住空間の一部が狭くなります。例えば、4畳分のスペースを収納に割り当てると、その分リビングや寝室の広さが制限されます。
住宅例 | 推奨されるクローゼットの広さと特徴 |
---|---|
小規模マンション | 2畳分、最低限の収納しかできない |
一戸建てや広めのマンション | 4畳、約1部屋分が犠牲になる |
広い戸建てや6人以上の家族 | 6畳以上、広いスペースが必要 |
またウォークインクローゼットは、明るさを確保するための照明設備や、湿気を防ぐための換気設備が必要になることも多いです。これらの設備には追加費用が発生するでしょう。
2.ウォークスルークローゼットの特徴と収納力
ウォークスルークローゼットとは、複数の出入り口を持つクローゼットのことです。
この設計により、クローゼットが通路としても機能し、リビング、寝室、バスルームなど異なる部屋をつなぎます。
衣類や小物を収納するだけでなく、生活動線をスムーズにする便利な収納スペースです。家事効率を重視した間取りに適しています。
2-1.ウォークスルークローゼットのメリット
ウォークスルーは複数の出入り口があるため、リビング、寝室、バスルームなどへのアクセスがスムーズです。特に家族が多い家庭では同時に利用しやすく、朝の忙しい時間帯にも便利です。
例えばバスルームと寝室をつなぐ設計であれば、着替えや洗濯物の移動が簡単です。家事効率を大幅に向上させる設計として注目されています。
また廊下やデッドスペースを収納空間としても活用可能です。たとえば、細長いスペースを使って通路兼収納の役割も果たすため、家全体の空間効率を高めます。
2-2.ウォークスルークローゼットのデメリット
ウォークスルーは通り抜ける設計上、プライバシーが守られにくい場合があります。
また家族が利用する時間帯が重なると、ウォークインクローゼットに比べて狭いためトラブルも起こりやすいです。特に通路として使用される部分は収納スペースとしては使えないため、実際の収納効率はウォークインクローゼットに比べて低下します。
3.ウォークインとウォークスルーを選ぶポイント
これからウォークインクローゼットかスルーにすべきか迷っている場合、ここから紹介するポイントを踏まえて決めましょう。
下表は2つの違いを簡単にまとめたものです。
ウォークスルークローゼット | ウォークインクローゼット | |
---|---|---|
動線 | 複数出入り口でスムーズ | 1つの出入り口で独立性が高い |
収納効率 | 動線分のスペースは減少ぎみ | 全面が収納に使える |
利便性 | リビングや寝室から直接アクセス可能 | プライベートな空間として使える |
プライバシー | 通行が多いと確保しにくい | 独立空間として確保しやすい |
設計コスト | 出入り口の増加で設計が複雑化 | 照明・換気の追加設備が必要な場合が多い |
上記の情報元に、ここからは両者の違いやどちらを選ぶべきかを考えて行きましょう。
3-1. 家族構成や生活スタイルを考慮しよう
家族の人数や生活スタイルによって、クローゼットの選択肢が変わります。
ウォークインクローゼットは、大人数の家族や衣類の量が多い場合に適しています。ウォークインクローゼットの方が大容量の収納スペースを確保でき、家族全員の衣類や小物を一箇所にまとめて収納できます。独立した空間があるため、プライベート感が高まり、整理整頓もしやすくなります。
一方でウォークスルークローゼットは、少人数の家族や夫婦二人暮らしに適しています。通路としても利用できるため、生活動線がスムーズになり、家事の効率も上がるでしょう。例えば、リビングや寝室から直接バスルームへアクセスできるよう設計すれば、着替えや洗濯物の片付けがスムーズになります。ただし、収納量はウォークインに比べてやや少なくなるため、収納物の量は要注意です。
3-2.設置場所の制約を確認
クローゼットの配置も選択のポイントです。
寝室に隣接する場合、ウォークスルークローゼットが適しています。寝室からクローゼットを通り抜けてバスルームや廊下に直接アクセスできる間取りは、日常の動線を快適にします。狭い空間でも導入しやすく、廊下を活用した設計で省スペース化が可能です。
反対に独立したスペースを確保できる場合、ウォークインクローゼットが向いています。広い部屋や余剰スペースがある場合には、十分な収納容量を確保できるウォークインを選ぶことで、生活の利便性と収納力の向上が期待できます。
また、独立したスペースとして設計すれば、趣味や衣類の管理スペースとしても活用可能です。
3-3.コストパフォーマンスの比較
ウォークインクローゼットは、比較的広いスペースが必要です。そのため建設費用や照明・換気設備のコストが増えることがあります。
また、家具や収納棚の導入費用も追加されるため、初期費用が高めになることも多いです。ただし、大容量収納が可能なため、長期的には収納家具を追加で購入する必要が減り、結果的にコストパフォーマンスが高くなることもあります。
その一方ウォークスルークローゼットは、廊下や隣接スペースを活用できるため設計費用を抑えることが可能です。
基本的に狭い空間を活用できるため、初期費用はウォークインよりも低めです。ただし、収納効率はウォークインより劣るため、収納力を重視した場合には別途対策が必要になることがあります。
4.どちらのクローゼットにも設置する際には注意が必要
ウォークインクローゼットやウォークスルークローゼットは、いずれも便利な収納空間を提供してくれます。
しかし設置した後に何もしないと、思いがけないデメリットも生じるので注意が必要です。
4-1.荷物が増えてしまうケースがある
どちらのクローゼットも、大容量の収納スペースがある分、収納するアイテムが増えがちです。
特にウォークインクローゼットの場合空間が広いため、収納スペースを最大限に活用しようとして無駄な物が増えることもあります。その結果整理や管理が難しくなり、逆に使いづらくなるケースもあるので注意しましょう。
ウォークスルークローゼットも同様で、使い勝手を良くするために一時的に物を置く場所が増えることもあります。収納が増えることで、動線が狭くなり、逆に快適性が損なわれることもあるでしょう。いずれにせよ物が増えすぎないよう、定期的な整理整頓が必要です。
4-2.寝室そばの設置は音に要注意
クローゼットを寝室近くに設置する際には、音に対する配慮が重要です。
特にウォークインクローゼットの場合、収納する物が多いと開閉音や動きの音が気になります。また家族が多い場合や、夜間に使用する人がいる場合は、音の影響で夜に目が覚めてしまうでしょう。
ウォークスルークローゼットも同様に、寝室に近いと音が気になることがあります。設置する際にはなるべく寝室から離したり、設計段階で音への対策を考慮したりしましょう。
5.自分たちの生活にあわせた選択を
ウォークインクローゼットとウォークスルークローゼットは、それぞれ異なる特徴を持っています。そのため自分たちの家族構成や生活スタイルに合わせて選ぶことが大切です。
収納力だけでなく、使いやすさや利便性も考慮した選択が快適な暮らしにつながります。それぞれの特徴を把握し、家族の生活スタイルや収納ニーズに合ったクローゼットを選びましょう。