暗い場所から明るい場所に移動したときに眩しさでストレスを感じたことはありませんか?実はそれ、光のまぶしさである「グレア」が関係している可能性が高いです。

人は年齢を重ねるたびに視力も低下します。見えないことで転倒事故も多発しているため、家の中のグレアを意識し、照明をうまく使うことが重要です。

ここではグレアとは何か、またグレアに注目し、家の中で対策できる灯り選びについても紹介します。

1. 照明と「グレア」の重要性

「グレア」とは、光が強すぎて眩しさを感じ、視界が悪くなる状態を指します。

私たちの生活に欠かせない光ですが、不適切な照明はストレスの原因となることがあります。特に家の中で不快な眩しさを感じる場面が増えると、快適な生活が損なわれるため、照明を選ぶ際に「グレア」を意識することが大切です。

1‐1. グレアの種類

グレアには大きく分けて「直接グレア」と「間接グレア」の2種類があります。

グレアの種類 どんな状況で起こる? 対策方法
直接グレア 太陽の光や照明の光が直接目に入る
明るさが極端に違う
光源を目に直接入らない位置に設置する
調光機能を使う
間接グレア 鏡やガラス、光沢のある壁や家具などで光が反射し目に入る 反射しやすい素材の近くに光を当てない
照明の角度に配慮する

「直接グレア」は、太陽や照明器具など光源が目に直接入ってしまう場合に感じる眩しさです。一方、「間接グレア」は、光が壁や鏡など反射する表面を通じて間接的に目に入ることで生じます。特にインテリアに光沢のある素材を使用している場合、間接グレアが起こりやすくなるため注意が必要です。

1‐2. 直接グレアの防止策

「直接グレア」を防ぐためには、照明器具の配置と光源の向きが重要です。

具体的な方法
・部屋ごとの明かりを均一にする
・明るい照明を設置する際には光源が直接目に入らないような位置に設置する
・フードやカバーを取り付けることで眩しさを軽減する

特に部屋の明るさを均一にすることは重要です。よくある事故として、明るいリビングから暗い廊下に出たとたん見えにくくなり、つまずいて転倒するといった事故が起こります。

リビングの明かりが5だとしたら、その隣の部屋や廊下も4~6の明るさを心がけましょう。移動する場所の明るさを均一にすることで、見えにくさや事故を防げます。

1‐3. 間接グレアの対策

「間接グレア」の対策としては、光が反射しやすい素材や面に対して照明を直接当てないようにすることが重要です。

具体的な方法
・照明の角度や位置を工夫する
・鏡や光沢のある家具などに光が反射しないよう注意する

例えば鏡やガラス、光沢のある家具や床材に光が反射しやすい場合、照明の角度や位置を工夫して間接的な眩しさを防ぐことが大切です。外出時には突然目に入ってくる反射光に気を付け、夏場はサングラスをかけることも大切です

2. 家の中でできるグレア対策

グレアは視覚的な不快感だけでなく、心理的なストレスや事故も引き起こします。

特に、暗い場所から明るい場所に移動する際に急に強い光が目に入ると、眩しさによるトラブルは多いです。このような状況を防ぐためには、空間全体に均一に光を行き渡らせる工夫が必要です。ここからは、家の中で快適に過ごすためのグレア対策を紹介します。

2‐1.家の中の明るさを均一にする

家の中の照明は特定の場所が明るすぎたり、暗すぎたりしないように、全体的に明るさを均一にすることが重要です。

均等な明るさを保つためには、複数の光源を使って部屋全体を照らす「間接照明」を導入するのも効果的です。

例えば、リビングルームには天井のダウンライトに加え、壁に取り付けるウォールランプ、コーナーに置くスタンドライトを使用すると良いでしょう。複数の明かりを部屋全体設置することで、柔らかい光が広がります。これにより部屋によって目が見えにくくなるのを防ぎ、快適な空間が維持できます。

2‐2.階段の場合はわざと陰影をつける

階段は明るさが均等だと段差が分かりづらくなるため、意図的に陰影をつけて段差をはっきりさせましょう

明るすぎる階段は段差が見えにくくなり、かえって危険が伴います。そのため階段の手すり下や段の端にLEDのライトを取り付けて光と影のコントラストを強調したほうが足元の安全は確保できます。

真っ暗な階段は最も危険ですが、明るすぎて段差が見えにくい階段も危ないです。下から階段を照らして段差を分からせる方法であれば、階段の踏み外しリスクを軽減できます。

2‐3.暗い廊下やトイレにはセンサーライトを導入する

廊下やトイレなど、暗くなりがちな場所にはセンサーライトを導入しましょう。

センサーライトは、人が通りかかった際に自動的に点灯し、空間を明るく保てるライトです。特別に設置が必要なものもありますが、近年ではコンセントに差し込むだけでセンサーが反応する便利なライトも増えています。

特に夜間にトイレや廊下を利用する際には、センサーライトがあると便利です。またセンサーライトは必要なときだけ点灯するため省エネであり、電気代を抑えられます

3. 照明でできるグレア対策

人は明るいところから急に暗い場所(その反対も同じ)へ出た場合、目が慣れるまで若い人でも10~30秒掛かります。そして高齢者の場合は1~2分も掛かるため、普段から照明を工夫してグレア対策を行うことが重要です。ここからは、照明器具を工夫してできるグレア対策について紹介します。

3‐1. 調光機能付きの照明を活用する

調光機能付きの照明を活用すれば、時間帯やシチュエーションに合わせて明るさを自由に調整できます。朝は明るく、夜は控えめな光に設定することで、自然な明暗の変化を作り出し、グレアを軽減できます。さらに調光機能は生活する時間帯や活動内容に応じて適切な明るさに設定可能です。例えば、リビングでのリラックス時にはやわらかい光に設定し、読書や作業をする際には明るさを上げることで、目に優しい環境を作ることができます。

調光機能付きの照明であれば、まぶしさを感じやすい若い人は普段から明かりを抑え、新聞が読みにくい高齢者の方は明かりをやや強くするなど、に応じて明るさをコントロールできるのも便利です。

3‐2. 照明器具のフードやカバーで光をコントロールする

照明器具のフードやカバーを使用することで、光源を直接見ることを防ぎ、眩しさを抑えることができます。フード付きのアップライトやスポットライトは、照らしたい対象にのみ光を当てることができ、周囲からは光源が見えないようにコントロールできるため、グレア対策に有効です。

また照明器具に乳白色のカバーを取り付けることもおすすめです。これにより直接光が目に入ることを防ぎ、優しい光を作り出すことができます。リビングやダイニングなど、家族が集まる場所では特に有効です。

また、間接照明を使用することで、壁や天井に光を反射できます。これにより、光が柔らかく広がり、直接目に入るグレアを防げます。

3‐3. 家の中の動線に配慮した照明設置

家の中での移動が多い場所、例えば玄関や廊下では、光源が直接見えないように照明を設置することがポイントです。奥まった位置に光源を配置することで、視覚的な負担を減らし、快適な動線を確保できます。

光源がむき出しになっている場合は、ルーバー付きのシェードや反射板を取り付けてみましょう。これにより光の拡散をコントロールし、グレアを抑えることができます。

4. 照明でグレアをコントロールする

家の中でのグレア対策は、視覚的な快適さだけでなく、安全性や心理的なストレスの軽減にもつながります。

家の中はなるべく均一な明るさを確保し、暗い場所ではセンサーライトを取り入れるなど視覚にストレスのない照明を取り入れましょう。グレアを防ぐ照明選びや設置方法を工夫することで、家の中での転倒事故などを防ぎ、快適さもアップします。