キッチンの空間の素材は様々。レストランの厨房のようなステンレスや、温かみのある木製のカウンターなど多くの種類があります。イメージするインテリアにぴったりの素材を見つけたいけれど、掃除は楽にしたい。ここではキッチンを構成するものの素材についてお話しします。

1.キッチンは素材選びが重要

キッチンは毎日のように使用する場所ですから、見た目だけでなく、機能性やメンテナンスのしやすさも考慮することが大切です。素材選びによって、掃除の手間が大きく変わることがあります。

例えば、料理中には油や食品のカスが飛び散ることは避けられません。そんな時、掃除がしやすい素材であれば、掃除のストレスがなくなるでしょう。逆に掃除がしにくい素材だと、汚れが蓄積して衛生的に問題が生じます。さらにキッチンは湿気や温度変化が激しい場所です。そのためキッチンの素材について調べ、耐久性や耐水性に優れた素材を選ぶことが重要です。

2.キッチンの素材別に見た特長を紹介

ここからは、キッチンで主に使われている4種類の素材を中心に紹介します。どの素材にもメリット・デメリットがあるので、それらを踏まえたうえで手入れのしやすい素材を選択していきましょう。

2-1.ステンレス素材のメリット・デメリット

まずは昔から使用されているステンレス素材の紹介です。ステンレスは耐久性が高く、錆びにくい特長があり、日本のキッチンでは最も使用されている素材です。

メリット デメリット
•耐久性が高く、錆びにくい
•衛生的で汚れが付きにくい
•熱や水に強く、プロの厨房でもよく使われる
•モダンで清潔感のある印象を与える
•指紋や水滴が目立ちやすい
•傷が付きやすい場合がある
•一部の化学薬品や塩分に弱い
•デザイン性が少ない

ステンレス素材は耐久性が高くサビにくいため、キッチンの素材に適しています。その一方色合いはシンプルなためデザイン性には少々ものたりないこともあるでしょう。

◆ステンレス素材の掃除方法
ステンレス素材のキッチンは、基本的に掃除方法もシンプルです。以下はステンレス素材のキッチンにおける一般的な掃除方法です。

掃除方法 具体例 ポイント
日常の汚れ落とし 1. 柔らかい布で表面の埃を拭き取る
2. 中性洗剤を薄めた水溶液を布につけて拭き掃除する
3. 水拭きで洗剤を拭き取る
4. 乾いた布で乾拭きする
水滴や洗剤の残留がないように、しっかりと乾拭きすること
指紋や油汚れの除去 1.専用のステンレスクリーナーを使用する
2. クリーナーを布に取り、汚れを拭き取る
3. 水拭きでクリーナーを拭き取る
4. 乾いた布で乾拭きする
クリーナーはステンレス専用のものを使用し、表面を傷つけないように注意
しつこい汚れや焦げ付きの除去 1. 重曹を少量の水でペースト状にする
2. ペーストを汚れ部分に塗布し、数分間放置
3. 柔らかい布で軽くこすりながら汚れを落とす
4. 水拭きで重曹を拭き取る
5. 乾いた布で乾拭きする
重曹は研磨作用があるため、力を入れすぎないように注意しながら拭き取ること

ステンレス素材は、日常的なメンテナンスを行えば美しさを保てます。特に専用のクリーナーを使用することで、その美しさと機能性を長く保つことができます。指紋や水滴が目立ちやすい点に注意し、こまめに拭き掃除を行うことが大切です。ただし細かな傷がつきやすい素材なため、ゴシゴシこすったりするのは避けましょう。

2-2.人工大理石のメリット・デメリット

人工大理石は、天然大理石の美しさを模倣しつつも、実用的な特性を持つ素材です。多くの家庭のキッチンカウンターやシンクで使用されており、デザイン性と機能性のバランスが良い素材です。

メリット デメリット
•デザイン性が高い
•耐久性がある
•メンテナンスが容易
•汚れが付きにくく、掃除が簡単
•接合部分が目立たないため、見た目が美しい
•高温の鍋やフライパンを直接置くと、変色や変形する可能性がある
•素材が重いため、取り扱いが難しい
•経年劣化が起きやすい
•他の素材に比べコストが高い

人工大理石の掃除方法
人工大理石のキッチンもステンレスと同様に、適切なメンテナンスを行うことで長く美しい状態を保つことができます。以下は、人工大理石のキッチンにおける一般的な掃除方法です。

掃除方法 具体例 ポイント
日常の汚れ落とし 1.柔らかい布で表面の埃や軽い汚れを拭き取る
2. 中性洗剤を薄めた水溶液を布につけて拭き掃除する
こまめに水拭きし、乾拭きすることが重要
油汚れの除去 1.柔らかいスポンジで優しくこすり、汚れを落とす
2. 水拭きで洗剤を完全に拭き取る
強い洗剤や研磨剤は避け、表面を傷つけないようにすること
しつこい汚れや染みの除去 ●重曹を使うと落としやすい
●柔らかい布やスポンジで軽くこすりながら汚れを落とす
強い力をいれると表面が傷つきやすい

人工大理石の美しさを保つためには、こまめな掃除が大切です。大理石は強い薬品や研磨剤が苦手です。柔らかい布やスポンジを使って丁寧に掃除することで、素材の美しさを長く保つことができます。

2-3.ホーロー製のメリット・デメリット

ホーローは鉄やアルミニウムなどの金属の表面に、ガラス素材を高温で焼き付けた素材です。金属に加えガラスの美しさがあることで従来のキッチンよりデザイン性があります。

メリット デメリット
•耐久性が高い
•高温に耐えることができる
•表面が滑らかで非多孔性のため、汚れがつきにくく衛生的
•見た目が美しい
•素材が重い
•衝撃に弱く、強い衝撃があると割れるリスクもある
•適度なメンテナンスが必要
•コストが高い

ホーローは、その美しさと機能性から近年人気があります。ただしステンレスなどに比べると取り扱いには注意が必要です。特に、落としたり強くぶつけたりしないように気を付けましょう。

◆ホーロー製の掃除方法
以下は、ホーロー製品の一般的な掃除方法です。

掃除方法 具体例 ポイント
日常の汚れ落とし 柔らかい布やスポンジで表面の埃や軽い汚れを拭き取る 乾いた布でこまめに乾拭きする
しつこい汚れの除去 重曹を少量の水でペースト状にし、水拭きで重曹をしっかりと拭き取りからぶきをする 重曹は研磨作用があるため、力を入れすぎないこと
焦げ付きの除去 中性洗剤を使用し、柔らかいスポンジでこすり取る 強い力でこすったり、やすりでこすったりするのはNG

ホーロー製品は、日常的に丁寧にメンテナンスを行うことで、その美しさを長く保つことができます。研磨剤や硬い素材を使わずに、柔らかい布やスポンジを用いてこまめに掃除しましょう。強い衝撃を避け、慎重に取り扱うことで、長持ちさせることができます。

2-4.クォーツシンクのメリット・デメリット

クォーツシンクは、主に水晶をベースに作られた美しいシンクです。水晶と樹脂を配合して作られ、天然石のような見た目で近年注目されています

メリット デメリット
•耐久性・耐熱性が高い
•見た目が美しい
•メンテナンスが簡単
•最新デザインとして人気が高い
•価格が高い
•取り扱っている業者が少ない

クォーツシンクの掃除方法
以下は、クォーツシンクの一般的な掃除方法です。

掃除方法 具体例 ポイント
日常の汚れ落とし 汚れの多くは水で落とせる 研磨剤の入った硬いスポンジは使用しないこと
しつこい汚れの除去 キッチン用中性洗剤を使うと多くの場合簡単に落とせる 水や洗剤で簡単に汚れは落ちるものの、こまめに掃除をしないと汚れが吸着しやすい

水晶がベースのクォーツシンクは、とても硬く傷がつきにくいのが特長です。高温や衝撃にも強く、光沢があるため高級感があります。他の素材に比べてメンテナンスが簡単ですが価格は高めなので予算を組む際には計画が必要です。

3.掃除がラクで壊れにくいキッチン素材とは?

現在主流になっているキッチン素材は、いずれも掃除がラクで壊れにくいです。ステンレス、人工大理石、ホーロー、クォーツシンクのいずれも掃除の差はさほどありません。そのためデザインや予算に応じて好みの素材を選ぶと良いでしょう。

昔はシンク素材に木材の収納がくっついているセパレートタイプのキッチンが多く、そのようなタイプは隙間に食材などが落ち、掃除もしにくいデメリットがありました。しかし現代のキッチンは一体型のシステムキッチンが主流です。一体型キッチンは、シンクやコンロ、作業台がシームレスにつながっており、隙間に食材が落ちる心配がありません。また、使用する素材も耐久性とメンテナンス性に優れたものが多いため、長期間にわたって美しさを保つことができます。

4.キッチンで便利そうだけど置かない方がいいもの

汚れ防止のビニールシートやマットは、置かないほうが清潔感を保てることが多いです。ビニールシートやマットは一見汚れを防ぎそうに見えるものの、シートの下に湿気や食材のカスが溜まりやすく、カビや細菌の温床になります。また、定期的に洗浄や交換をしないと、かえって不衛生になりがちです。

またキッチンツールはたくさんありますが、多すぎると収納スペースを圧迫し、整理整頓が難しくなります。頻繁に使わないものが多いと、掃除の際に邪魔になるだけでなく、埃や汚れも溜まりやすくなります。そのためキッチンに置くものは最低限必要にとどめ、汚れ防止シートを使用するのではなくこまめに掃除することを心がけましょう。

5.まとめ

キッチンは素材を知って選べば掃除とメンテナンスが楽になります。ステンレスやクォーツなどの耐久性が高く掃除がしやすい素材を選ぶことで、日々の手入れが簡単になります。ステンレスは耐久性があり、錆びにくい上に衛生的です。一方、クォーツは非多孔性で汚れやシミがつきにくく、豊富なデザインから選べる利点があります。もちろん人工大理石やセラミックも掃除が容易で、高い耐久性を持っています。

キッチンを美しく保つには、調理中も道具や食材を出しっぱなしにせず、使ったものはすぐに片付ける習慣をつけることが大切です。適切な素材選びと整理整頓の工夫で、キッチンはより快適で使いやすい空間になります。